伊予生糸(いよいと)は、手動による繰糸機(多条繰糸機・たじょうそうしき)による製糸、また繭の冷蔵保存(生繰り法・なまぐりほう)など現代ではここだけにしかない細やかで丁寧な技術力のおかげで、他の産地の一般的な生糸(きいと)と比べて、白い椿のような気品のある光沢があり、ふんわりと柔らかい風合いを有するのが特徴です。その品質が高く評価され、シルクでは全国で唯一、国のGI制度登録を受けているほか、伊勢神宮や皇室の使用する糸(御料糸・ごりょうし)として採用されており、1953年にはエリザベス女王就任時(戴冠式・たいかんしき)のドレスにも使用されました。日本ではここだけしかない養蚕から製糸、製品化までの絹織物の全工程が学べる施設にて、このように高い品質と歴史を有する伊予生糸を普段は開放していない養蚕場をはじめ、蚕のエサとなる桑の畑や繭から生糸を作る工場などを見学しながら余すことなく学んでみませんか。
※GI制度(地理的表示保護制度):地域で長年育まれた特別な生産方法により、高い品質が評価されている農産品等を国が地域ブランドとして保護する制度